TOEFL or IELTS?

2010年5月3日月曜日

英語を母国語としない留学生の英語力をはかる試験として、TOEFL-iBT以外にIELTSという試験があります。
TOEFL-iBTがアメリカ英語なのに対し、IELTSはイギリス・オーストラリア英語なので、イギリスやオーストラリアに留学する場合はTOEFLではなくIELTSのスコアを求められるのが一般的だそうです。

しかし、近年アメリカでも、「TOEFLで高得点を取った留学生でも、実際に入学してみると英語が下手だ!訛りが強くてわからない!」
という、主に学部生達からの苦情(院生の場合TAで学部生を教えることが多いです。アメリカでは、日本に比べ大学で取った成績(GPA)がその後の就職や進路に大きく関わってくるので、なるべく良い成績を取りたいという気持ちが日本の学生より強いと聞きます。彼らにとって、TAの英語がわからないというのはゆゆしき事態なのです)が相次ぎ、
「TOEFLは信用できない。代わりになる試験はないか」ということでIELTSが注目され始めている、
TOEFLは受け付けずにIELTSだけ受け付ける学校が出てきている、というがあります。
実際、ちょっと前まではほとんどの大学院がTOEFLしか受け付けていなかったのに、今は大抵の大学院が「TOEFLまたはIELTS」という要求の仕方をしているので、上記の噂もそんなに的外れでもないかなと思いました。
実際、私が9校受験した中では「TOEFLではなくIELTSのみ」という要求の仕方をしている大学院は見当たりませんでしたが、この傾向が続くと、もしかしたら今後上記のような大学院も出てくるのかもしれません。
私は心配性なので、TOEFLを100点越えした後、念のためにと、IELTSも受けました。

TOEFL-iBTとIELTSの違いは以下の通りです。
・TOEFL-iBTは120点満点なのに対し、IELTSは9.0点満点である。
・TOEFL-iBTは全てパソコンを用いて行うのに対し、IELTSは手書き答案である。
・TOEFL-iBTのスピーキングはパソコンに向かって録音するのに対し、IELTSは面接官と一対一で話すので、より実際の会話に近い感じで話すことができる。TOEFLもIELTSも録音したものをセンターに送り、そこで採点されることに関しては同じである。

いずれもメリット・デメリットがあると思います。パソコンで長文を読むのは目が疲れるし、パソコンに向かって話すのも慣れるまではちょっと変な感じがします。
でも、手書きで長文書くのは手が疲れるし、間違えた時に消しにくいし、ヘッドホンで聞く方が、教室のスピーカーで聞くよりも聞き取り易いです。
また、TOEFL対策のページに詳しく書きますが、TOEFL-iBTの大きなデメリットの一つとして、「自分がreadingをやっている最中に隣の人がspeakingを始める」、ということが往々にしてあります。
隣の人じゃなくても、同じ部屋にいるとかなり邪魔です。

お金と時間に余裕があれば両方受けておいた方が安心だとは思いますが、
①TOEFLだけ、あるいはTOEFLとIELTSどちらでもよい、という学校はあるが、IELTSだけ、という学校は私の見る限り今のところは見当たらないこと、
②TOEFLの方がある種類の「癖」があって、IELTSよりもいわゆる「試験に則した対策」というものが必要であること、
などから、とりあえずTOEFL対策をしてTOEFLを受けてみて、思ったよりも早く100点、あるいは目標点数を達成できたらIELTSも受けてみる(TOEFL対策をしておけばIELTS対策というのは特には必要ない気がします。ある程度イギリス英語に耳を慣らしておく、本で模擬試験を自分でやってみる、くらいで十分でしょう)、という戦略でいいんじゃないかなと思います。
そして、TOEFLに思いのほか手間がかかった場合は無理してIELTSを受ける必要はないと思います。

IELTSの試験内容は以下の通りです。
listening
4つの会話やスピーチなどを聞き、それについての質問に答える。問題は全部で40問。時間は30分。
TOEFL-iBTはパソコンから繋いだヘッドホンを被り、自分だけが聞くが、IELTSでは教室の教卓に乗せられたスピーカーからの音を皆で同時に聞く。
問題の種類は、
多肢選択式
短い言葉で答える問題(空欄に自分で言葉を書く)
穴埋め問題
メモや、要約、フローチャート、表を埋める問題
図の題名をつける問題
分類する問題
組み合わせの問題
などです。

reading
トータル2000~2750ワード程度の、3つの長文を読み、それについての質問に答える。問題は全部で40問。時間は60分。
TOEFL-iBTではパソコン上の長文を読み、パソコンに答えを入力していくが、IELTSでは紙に印刷された長文を読み、紙に答えを鉛筆で書いていく。
問題の種類は、
多肢選択式
短い言葉で答える問題(空欄に自分で言葉を書く)
穴埋め問題
メモや、要約、フローチャート、表を埋める問題
図の題名をつける問題
パラグラフやセクションの題名を選ぶ問題
著者の主張などについての多肢選択式問題
長文に含まれる情報についての正誤問題
分類する問題
組み合わせの問題
などです。

writing
2問で合計60分です。
TOEFL-iBTではパソコン上で書けるので、選択して大量に一気に消したり、コピー&ペーストができるのに対して、IELTSは紙に鉛筆で書くので、大量に消したい場合は時間がかかることや、同じフレーズや似たようなフレーズを使いたい場合にもいちいち手で書かなきゃいけないところが違います。
問題の種類は、
1問目:20分間で150ワード以上書く。この問題では、表や、グラフや、チャートなどを見せられ、それについての質問に答える。
2問目:40分間で250ワード以上書く。この問題では、ある立場や主張について1~2文程度の文を見せられ、それについて賛成か反対か、などの議論について書く。

ここまで、休憩はありません。
speakingは、上記の3セクションが行われた日の前後6日間の間にやることになっているそうですが、私が受けた会場では、土曜日に3セクション、次の日の日曜日にspeaking、となっていました。
会場も違うので要注意です。

speaking
トータルで11~14分。
パート1:4~5分で試験官と自己紹介をする。一般的な簡単な質問について聞かれる。
パート2:3~4分であるトピックについての質問に答える。トピックはその場で渡されたカードに書かれている。考える時間を1分与えられる。
パート3:4~5分でパート2で聞かれた質問についてもうちょっと突っ込んだ質問に答える。

TOEFL-iBTを受けた後に受けると、IELTS特有の癖や特徴、というようなものは感じませんでした。
なので、両方受ける場合はTOEFL-iBTの対策+イギリス英語に耳を慣らす、程度で良いと思います。
一応、IELTS対策本も使ってはみましたが、特に「この本を使ったから良かった!」という感動はありませんでした。
不安だったらサラッと見ておく程度でいいんじゃないかと思います。

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