アメリカ理系大学院留学説明会

2010年6月26日土曜日

先日、再び日米教育委員会のアメリカ理系大学院留学説明会に行ってきました。
前回参加した渡米前オリエンテーションとは違い、今回の対象はほとんどが、アメリカでの大学院留学を考えている、迷っている人たちあるいはこれから出願する、という段階の人たちで、来ている人達も、学部3、4年生や社会人や大学院生(修士)などがほとんどだった。
そして、アメリカの大学院留学を奨学金という形で支援する財団の理事の方までいらしていた。

スピーカーは是永淳先生。学部、修士を東大で出て、MITでPhDを取得し、今はYale大学の教授。
という、それはそれはスゴイ先生なのだ。
是永先生は「理系留学のススメ」というwebpageを作っていて、そこで出願のこととか、PhDコースに入った後のこととか、をそれはそれは細かく丁寧に説明して下さっている。
周りに大学院留学など考える同期も先輩もおらず、私の指導教官は私の希望を後押ししてくれる素晴らしい先生だけれどアメリカの大学院留学の出願などに関してはあまりご存知なく(当然だが)、相談する相手が皆無だった私は、今から思うと恥ずかしくなるくらい、細かくて瑣末で初歩的な質問をたくさんメールしたのだけど、それらにもしっかり答えて下さった。
(そんな感じで、先生のwebpageと先生のアドバイスを受けて出願を行い合格通知を受け取った私のこのブログの内容は、先生のwebpageとかぶる部分がかなり多い(笑)もちろん、GREやTOEFLに関しては先生が受験された時代とはかなり変わっているので、結構違うけど)
先生には本当に感謝している。それだけたくさんお世話になったのにメールのやり取りしかしたことのない是永先生が日本にいらっしゃるなら是非一度ご挨拶したい、と思っていたので、この機会を逃す手はないと、説明会に行ってみた。

特に心に残ったことと、知らなかったこと(=今までブログに書いてないこと)を以下にまとめてみる。

<大学の選び方>
・非英語圏の国で取ったPhDは世界で通用しない。イギリスなど、英語圏の大学であってもOxfordなどでないと「トップレベル」とはみなされない。
・アメリカの大学でも、専門分野のトップ20~25なら良いが、それ以下だと将来的に就職を得るのが難しくなる。
・トップクラス(トップ10以内)は、採る学生がもともと粒ぞろいなので、qualsで落ちる割合が低く、中堅(トップ20以内)は半分以上落ちるのが普通(⇒これは学科によるかも?Chemical Engineeringでは、トップ10に入る大学でもトップ20に入る大学でもQualsで大量に落ちるという話はあまり聞かない。でも確かに、大学や学科によっては、同じ学科の同期の日本人5人のうち1人しか通らなかった、などという話は聞いたことがある)
・日本&ヨーロッパの大学は「閉鎖系」である。これはつまり、自国民によってサポートされ、自国民を優先的にfacultyその他のポジションに採用するため、留学生である日本人がヨーロッパでPhDを取った後現地で職を得るのは非常に困難。
・それに対し、アメリカの大学は「解放系」である。

<出願>
エッセイ:見出しとか太字とかは逆効果である。そのような、ビジュアルに頼らないと読めない文章なのだとみなされてしまう。

<日々の過ごし方>
・PhDを取るということ:研究者として独り立ちするということ。
 ・この分野の発展する先はどうあるべきか。
 ・そのために自分はどういう研究をすれば良いか。
を、常に考えて研究すること。
・年単位のbig pictureから、月単位、週単位、日単位の具体化した目標分割をする。人生は「自己実現」と「自己超越」の繰り返しである。できないことは、なぜできなかったかを分析して次に活かすこと。
・「運も実力のうち」⇒言い訳をしない。実力がなければ運をも利用できないのだから。前向きに考える。自分をどう変えるか。⇒人のせいにしてしまう人はヤバイ。
・自分の1日の過ごし方を考えて無駄をなくすこと。工夫と試行錯誤が大切。
 ・毎日コツコツやらなければならないことは一日の最初にやる。朝の1時間をそれにあてたら、「1日は23時間」と割り切る。(む、むずかしい…(激汗))
・行き詰ったら、必ず人に話すこと。同期には似たような悩みを持つ人がいなかったとしても、教授などは10年、20年勤めているのだから、かならず過去に似たような悩みを持っていた人を覚えているはず。(⇒これは先日の渡米前オリエンテーションでも言われた。もしかしたら日本人の最大の問題と、思われているのかも?(^^;)
・良いPhD thesisは指導教官のお陰と思われるので、それだけでは渡って行けない。研究者としての実力はPhD取得後の実績で判断される。
"all limitations are self-imposed"

<アメリカの良いところ>
・サポートスタッフの数が多い(=雑用が少ない)
・若い人を率先して伸ばそうという姿勢がある
・トップクラスの大学、研究者の数が多い。
・給料がかなり良く、生活環境も広々していて住みやすい。(⇒是永先生はかなりアメリカに適応した方とお見受けしました。生活環境は消費者としては日本の方が住みやすいと考える人も数人知っているので)


前述の、アメリカの大学院留学を支援するための奨学金を出している財団の理事の方が、「アメリカの理系大学院は授業料も免除だし生活費も出してもらえるということは、私たちのような事業は無駄なのでしょうか?」という切ない質問をしていらした。
先生も「無駄ではない」というお答えをしていらしたけれど、先生が常識としてご存知のことと理事の方が常識としてご存知のことの間にギャップがあるようで、あんまり納得されていないようだった。ので、私が考えたことを書いてみる。
結論から言うと、「無駄ではない」
なぜならば、私のように、入学当初から授業料免除、生活費全額補助というのは、極めて、とまでは言わないまでも、ラッキーなことにはかわりないからだ。
アメリカの理系大学院が学生に出す給料は「TA(ティーチングアシスタント)」と「RA(リサーチアシスタント)」という二つの形がある。
そして、たいていの場合、TAのみ、あるいはRAのみで卒業までの5年間をサポートしてくれるわけではない。
大抵は、1、2年分をTA、3、4年分をRAとしてサポートするというのが普通だと思う。
そして、「最初の1年は研究室に所属しないのでTA」という形を取っている大学院も少なくないのだ。
その場合、例えば、論文など、研究者として将来有望な出願者を教授が欲しがったとして、でもその出願者の英語力(GRE VerbalやTOEFL)が低い場合、学科としてはTAとして雇いたくない。
(英語が下手なTAを雇うと、そのようなTAから習うはめになる学部生たちから苦情がくるのだ。そういうのが積もり積もってTOEFL iBTにspeaking sectionが加わったというウワサもあるほど)
そのような場合、「最初の1年は自分で出してね」とか、「こっちに来てからRAポジションを自分で探すまでは自分で出してね」などという形の「合格」というものも少なくないのだ。
だからやはり、全然無駄ではない。
実際私も、不合格になった2校のうちの1校について、その学校の先生(apply前にコンタクトを取っていた)に「いろいろとお話を伺えてよかったです。残念ながらお宅の学校には落ちてしまいました。あなたの研究室に入れないのは残念ですが、他の学校で頑張ります」みたいなメールを出したとき、
「どうして落ちたのか、admissions committeeに問い合わせたところ、TOEFLの点数が低かったせいだそうだ。しかし、そういう人でも、最初の1、2年だけ自分で払ってもらえれば、2、3年目に入る頃には英語的にTAをやるには不自由ない程度になると考えられるのだが、君は奨学金や自費は持っていないか?」
とメールがきた。(よく覚えていないけど、確かその学校はTOEFL iBTの合計が100点、各セクションがそれぞれ25点、というのが足切り…だったような、気がする。私はW27、R27、S22、L27、合計103だったため、満たせなかったと考えられる)
その時点で私は自分が行くことになった大学院の方が魅力的だと考えていたので、丁重にお断りした。
が、要するにそういうことはある、ということだ。
なので、無駄ではないです。むしろ必要である、と思います。

最後に。
アメリカンセンターは極寒です。渡航前オリエンテーションに行った時、カーディガンを着ても寒くて、休憩中に頼んで冷房を消してもらったのですが、今回は時間も短いので休憩がなさそうだと考え、パーカーを持って行ったのにそれでも寒かった。
これから初めて行かれる皆さまはお気をつけ下さいませ。

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