日米の大学院の違い

2012年2月25日土曜日

またまたながーい間放置してしまってすみません。(1年以上…(汗))
このブログを読んでメールを下さった方が、日米の大学院の違いについて教えて欲しい、とのことでしたので、
私の少ない経験から考えたことをずらずらと書き並べて送ったら、少しはお役に立ったようでしたのでアップしようと思います。

項目      日本             アメリカ

学費     自分持ち           大抵の場合全額免除
生活費    自分持ち           大抵の場合日本の初任給くらいのお給料がもらえる
授業     かなり楽           かなりきつい
研究     日本語            英語
       ほぼ全員日本人        世界各国から留学生がきてる。(人種比公開してるはず)

これはほんと、私のせまーい経験に基づくものなので、学科や学校によってもだいぶ変わる可能性がある、ということを頭において読んで下さい。

*授業
日本では、大学院は研究をするところであり、授業で学ぶところではない。学部で学ぶことは全て学んでいるはず、という前提。だから、授業では、研究にどう応用していくか、というような内容が多い。が、宿題もレポートもほぼなく、試験も適当にやってもだいたい5がくるので、あまり勉強にはならない。なぜかというと、大学院は研究をするところであり、先生たちは学生に授業に時間を取られて欲しくない。「大学院の授業は文科省が何単位以上って決めてるからやってるだけ」と公言して憚らない先生すらいる。ただし、かなり楽だし、研究に集中できるという意味では良い、という考え方もある。
アメリカでは、大学院は研究をするところであり、学問を土台からしっかり学ぶところでもある。学部で学ぶことは基礎、社会に出てから困らない必要最低限のことであるという考えなので、本当にその学問を理解したと言えるようになるための授業を大学院ではする。宿題はほぼ毎週、試験も期末含めて2~3回ある。(中間を2回やる先生もいるから)授業の宿題と試験勉強にかなり時間を割く。その分研究に割ける時間が日本に比べ少なくなる。と、思う。心配事がたくさんになる(試験のこと、論文のこと、宿題のこと、ミーティングのこと…)。

*就職
日本でもアメリカでも、大学院を卒業したあとその国でそのまま就職するなら、教授のコネや大学にくる求人などで、高望みをしなければどこかには入れる。と思う。でも、アメリカで大学院出て日本で就職、となると、コネ0でやらないといけない上、大学の就職課にも頼れないので、結構たいへん…かも。ボストンキャリアフォーラムが唯一最大のよりどころ…ってところでしょうか。BCFはかなり良いんだけど、大企業ばっかりで滑り止めがない、というのが辛い。

*TA
日本では、あまりTAをやらないが、やるとしてもせいぜい学部生の学生実験のTAをするくらい。それも、ちょっとしたトラブルや試薬の場所などの質問に答える程度の仕事。採点をしたり、何かを教える、ということはまずない。楽な反面、収入もお小遣い程度。私自身はやったことないけど。
アメリカでは、ほとんどの人がTAをする。undergradかgradの授業のTAでは、宿題の採点をしたり、週に2時間程度のoffice hourでの質問を受け付けたり、試験監督をしたりということが主な仕事。そのほかには、教授が出張のときにかわりに授業をしたり、試験前に授業時間外でreview sessionをしたりという仕事が加わることもある。将来教職に就きたい人にとってはかなり良い経験になるらしい。だけど、かなり時間をとられる。自分の受ける授業と、研究と、TAの3両立はかなり大変。それに、学科や大学にもよると思うけど、大抵はやれ、といわれたらやらなきゃいけない。うちの学科では、毎セメスターの始まる前に、次のセメスターのそれぞれの授業のTAのリストがメーリスで流れてくる。拒否権は基本的にないので、ほとんど赤紙のようなもの。ただし、「卒業までに何回やらなきゃいけない」というのが決まっているので、全員卒業までにやる回数は同じ。そういう意味では公平。大学からもらうお給料には、TAとしての働きに対する対価も入っている。
 
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